敷設32年…JRも「初めて目にする状況」レール腐食の“衝撃” 函館線脱線に広がる影響と動揺

(JR北海道 島村昭志鉄道事業本部長)「当社としてはレールの腐食が脱線の原因の1つになった可能性が高いと考えている」 脱線事故はレールの腐食・錆が原因で起きた可能性が高いとの見解を示しました。

16日に発生した貨物列車の脱線事故。

付近の住民は衝撃の大きさをこう振り返ります。

(付近の住民)「グラグラ。地震かなと思った」

現場はJR函館線の森駅と石倉駅の間。

上りと下りの列車が走る複線でゆるやかなカーブが続きます。

脱線したのは名古屋から札幌に向かう貨物列車。

16日午前1時40分ごろ、機関車1両にコンテナ車両20両が連なって走行中、コンテナ車両5両が脱線し、最後尾の1両はおよそ30メートル分離しました。

(東海林記者)「午後3時です。鉄道事故調査官が脱線事故のあった現場に入ります」

16日午後には国の運輸安全委員会が事故現場を調査。

(運輸安全委員会 西本正人鉄道事故調査官)「脱線事故なので非常に重大な事故。(レールが)なぜ折れたのか、いつ折れたのかいまから調査をしていきます」

現場に残された事故の痕跡。

それは踏切付近で見つかった損傷したレールでした。

1メートル以上にわたり破断していて、敷かれてから32年が経過していたといいます。

専門家は、踏切付近のレールは傷みやすい環境下にあると指摘します。

(鉄道ジャーナリスト 梅原淳さん)「踏切は列車が通るだけではなくて車も通行する場所。ほかの場所に敷かれているレールに比べるとレールの痛みが激しい。痛みがとにかく激しくて、補修を繰り返しても特に函館線は貨物列車の通過本数が多いのでどうしても痛みが激しくなって、線路側に痛みが激しいと間に合わないという状況が起きているのかなと思う。長年の使用で20年~30年となると交換が必要になってくる。だがJR北海道の基準では取り替えていなかったという風になる」

これまでにも道内でたびたび発生している貨物列車の脱線事故。

2013年には大沼駅構内でレール幅が広がっていたことなどが原因で事故が起きています。

以来、線路の安全を保つ「保線」に力を入れてきたJR北海道。

今回の事故は防げなかったのでしょうかー

(JR北海道 島村昭志鉄道事業本部長)「私どもも初めて目にする状況。どうやればこういうふうに腐食するのかつかめない。申し訳ございませんがそういう状態」

(記者)「特急が脱線する可能性もあったと思うが」

(JR北海道 島村昭志鉄道事業本部長)「それについては可能性としては否定できない。実際にどうだったかはそれについてはわからない」

19日の始発からの運転再開を目指して夜を徹して行われている復旧作業。

安全の根幹を揺るがしかねない事故だけに、原因の解明が急がれます。