ドジャースの大谷翔平投手は18日(日本時間19日)のマーリンズ戦に「1番DH」で先発出場。初回の第1打席に左前打で出塁し、今季49個目の盗塁を成功させた。
節目の「50-50(50本塁打・50盗塁)」まで、あと2本塁打、1盗塁に迫った大谷について、米メディア『ジ・アスレチック』はメジャー・リーグで活躍したスター選手らのインタビューを掲載。大谷がいかに異例の活躍をしているかを報じた。
■元MLBスターも思わず「嫉妬しそうになる」
10年前に楽天で活躍したアンドリュー・ジョーンズは「彼がやっていることは、まさに天変地異だよ」と驚嘆。日本時代を回顧し「18、19歳のときにこの少年を見た。打者としてはまだ目立っていなかったが、外野手としての守備は非常に優れていた。打撃練習の後、内野に回っているときに、彼の投球を見るためだけに外に出たものだ。それほど印象的だったよ」と明かした。
記事を手がけたタイラー・ケプナー記者は、MLBの歴史上、シーズンを問わずに「50-50」を達成した選手は、1990年に52盗塁、01年に73本塁打を放ったバリー・ボンズと、92年に53盗塁、96年に50本塁打をマークしたブレイディ・アンダーソンのわずか2人だけだとし、「どちらか一方、あるいは両方を達成した選手にとっては、おそらく(大谷の活躍は)より驚くべきことだろう」と、達成した選手らのコメントをまとめた。
アンダーソンは、「シーズン50本塁打を成し遂げた選手はおよそ30人、対して50盗塁以上を達成した選手は数百人いるはずだ」と歴史的に見てもシーズン中に50本塁打を放つことは50盗塁を達成することよりもはるかに難しいことだと強調。その上で、大谷の盗塁成功率にも注目し「今年、彼が盗塁を1度もしなければ、47盗塁(失敗4つ)という数字は、野球史上異例のことだ」と48盗塁目を決める前に語った。大谷はさらにこの日の試合で49盗塁目を決めて、成功率は92.4%に上昇している。
2000年代にシーズン50盗塁以上を5度記録したフアン・ピエールは「膝の状態を考えると、『いいかい、君は我々にとって貴重な存在だ。盗塁は他の誰かにやらせよう』ということになるだろう。年を取るにつれて、特にパワーヒッターなら、選手たちはそれを止めてしまう。怪我をする可能性があるのに、そこにいる意味はない。そして、オオタニが再び投球を始めたら、本当に走って肩を痛めてほしいと思うだろうか?彼がこの数字を出して投球できるとは思えない」と盗塁による身体的ダメージにも言及。同一シーズンで50本塁打を打ちながら、24盗塁以上を記録した選手は未だかつていないという。ピエール自身も、2007年に64盗塁を記録したときの、本塁打は年間を通してゼロだった。
指名打者で打撃に専念する、という環境についても「彼はフィールドを走ったり、天候に左右されたりする必要はないが、彼がやっていることは、座ってから外に出て走らなければならないので、やはり大変だと思う」とし、「彼は自転車に乗って身体を動かしているとは思うが、それでも守備のように体をほぐすようなことはできない」と指名打者ならではのデメリットも挙げた。
そして、本塁打により、大谷の盗塁機会も失われたということについても忘れてはいけないという。ピエールは「50本のホームランを打つということは、塁上で何かをしなければいけない回数が50回減るということだ」と指摘。「まったく、あんなに足が速いのに、どうやって500フィート(約152.4メートル)も打てるんだと、嫉妬しそうになるよ」とも語り「彼のやっていることは、まったく不公平だ。彼は文字通り、ゲームを変えているんだ」と大谷の異次元の活躍ぶりに脱帽した。