大谷翔平(ドジャース)か、はたまたフランシスコ・リンドーア(メッツ)か。今シーズンのナショナル・リーグMVPを巡る議論は白熱の一途を辿っている。
ともに好調のシーズンを送ってきただけに、両雄が論争の中心にいるのは必然だ。しかし、議論は白熱するあまり、一部ではあらぬ方向へと向かっている。ニューヨークの日刊紙『New York Post』のベテラン記者であるジョン・ヘイマン氏は、大谷をMVPに推挙する声に対して「西海岸贔屓がかかる」と論じたのだ。
史上初となる「シーズン50本塁打・50盗塁」にも迫っている大谷。そんな偉才の成績を「すでに誰も成し遂げていない45-45をやってのけている。それは素晴らしい」と評するヘイマン記者は、リンドーアについても「ホームランを打ち、盗塁も決め、守備も素晴らしく、稀有なリーダーシップを発揮している」と激賞。
その上で後者が、米データサイト『Fan Graphs』の「WAR(打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標)」が上回っている点を指摘し、「オオタニとの争いは五分五分であるべきだ。西海岸にいる選手への贔屓があるかもしれない」と訴えた。
メジャーリーグのMVPは、BBWAA(全米野球記者協会)の厳選された30人の投票によって決まる。ヘイマン記者はそこに「西海岸贔屓がある」というわけだ。
しかし、“暴論”とも言える内容は反発も招いている。ドジャースの専門サイト『Dodgers Way』は、ヘイマン記者の論調に対して「矛盾している」とバッサリ。「リンドーアがMVPを受賞しないとすれば、WARに対する意見が一致しないからでも、西海岸贔屓のせいでもなく、オオタニが全体的に好調なシーズンを送ったからだ」と断言している。
「ヘイマンがどれだけコラムで否定しようとも、オオタニの目指している50-50は、このスポーツ史上で誰も達成したことがないことだ。オオタニがより多くのお金を稼いでいるからという事実は関係ない。リンドーアがオオタニより優れているという議論には納得できる部分もあるが、ヘイマンの意見は値しない」
果たして、大谷はキャリア3度目のMVPになれるのか。いずれにしても、しばらく論争は続きそうだ。